大判例

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東京高等裁判所 昭和48年(ラ)664号 決定

数個の不動産につき競売の申立がなされた場合に、これを個別に競売するか、一括して競売するかは、競売裁判所の自由裁量によって定めうるところであるが、右の自由裁量は利害関係人の利益を無視して競売の方法を一切裁判所の恣意に委ねる趣旨ではない。すなわち、抵当権の実行による不動産競売制度は、裁判所の関与の下に、公正にかつできる限り高価に抵当不動産を売却し、その売得金により、当該不動産を中心とする競売法第二七条第三項所定の各利害関係人の私権を満足することを目的とするものであるから、数個の不動産が、位置、形状、構造、機能の諸点より客観的経済的に観察して、有機的に結合された一体をなすものと見られ、これを個別に競売するより一括して競売する方が当該物件全体の効用をたかめ、その価額も著しく高価となるべきことが明白に予測される場合には、競売裁判所として、他の抵当権者に対する売得金の配当に支障を来すなどその他一括競売を不当とする事由のない限り、一括競売の方法によるべきであり、これを個別に競売することは、その不動産が右の如き有機的関係において有する価額を無視して売却することを認めることになり、裁判所の裁量権の範囲をこえた違法の瑕疵があるものというべきである。これを本件についてみるに、≪証拠≫によれば、別紙物件目録(一)記載の本件二八番地の土地への外部からの出入口は、農道側と同目録(二)記載の二七番一の土地に面した部分の二つのみで、二七番地の一の土地が個別競売されると、出入口は農道側の入口に限られることになる上、農道との間には水路があり、右農道の幅員は約三メートルで、二七番の八の道路と効用に差はないが、二八番の土地から県道に出るには、二七番の一の土地を通って、二七番の八の道路を経て、二六番の八から二三番の六に至る道路(幅員四メートル)を利用するのが普通であり、従って、二七番の一の土地を利用できなくなることによって、二八番の土地は袋地同様の土地になることが認められる。もっとも当時見附市では下水道工事を計画中で、二八番の土地に通ずる農道に下水管を敷設するため幅員が四メートル以上に拡張される予定であることが認められるが、右計画の実施には両三年を要する見込であり、結局現在の状況では、右(一)と(二)の不動産を分割競売した場合は全体を一括して競売した場合に比較すると、(一)の土地の評価額の低下は三割を優にこえるものとなると認めるのを相当とする。されば、抗告人が主張するように、右(二)記載の不動産を個別に先に競売することにより、右(一)記載の不動産の競売価格は、(一)と(二)記載の不動産を一括して競売する場合に比し著しく価額の低落を来すか、あるいは、右(一)記載の不動産についての競売の続行が困難となることは容易に予想されるところであって、その結果、本件債権者(抗告人)又は債務者兼所有者等の利害関係人に著しい損害を及ぼす可能性がきわめて大きいものというべきである。なお右(二)の不動産には抗告人に先立つ先順位抵当権の存することがうかがわれるが、そのことは本件において一括競売を妨げるべき事情とは解せられない。

以上の次第であるから、抗告人が一括競売を申立てたのに対し原裁判所が本件各不動産を個別競売すべき格別の理由もないのに、個別競売に付したのは裁量権の範囲をこえた違法の競売というべく、これに基づく本件競売はこれを許すべきでない。

(浅沼 田嶋 園部逸)

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